「経験を活かしてカウンセラーになり、同じような悩みを持つ人の助けになりたい」
「自分が学んだ心理学や資格を活かしてカウンセラーとして開業したい」
という方が増えていますが、私の考えを正直に申し上げますと、その人の状況によっては「人生経験を活かしてカウンセラーで開業する」ことには、少々否定的です。
えっ、なぜ? と、思われましたでしょうか?
もちろん、人生経験を活かしてカウンセラーになることは素晴らしく、起業初心者の方が成功できる可能性と夢があるジャンルであることは間違いありません。
ですが、「カウンセラーとして開業をしたい」という方のご相談をお受けしていると、
「単に参入障壁が低いから」
「自分にもできそうだから」
などと、安易な考えで開業しようとしている方も少なくないと感じています。
また、自分の悩みを解決するためにセミナーや講座などに通った経験を、カウンセラーの実務経験と勘違いをして、カウンセラー開業しようとする方が増えていると感じています。
カウンセラーとしてデビューするには、知識と実務経験が不足している状態にもかかわらず、開業して高額で稼ぐことばかりを追い求めている人が増えている…と感じることが、カウンセラー開業に少々否定的な理由です。
しかし、一方で実際にカウンセラーとして多くの方のお役に立ち、独立開業をされることによって、ご自身が大きく飛躍して、長く活躍を続けている方が多いのも事実です。
今回は、単に「参入障壁が低いから」ではなく、以下の方に向けてカウンセラー開業のメリット・デメリット、成功する人と失敗する人の特徴をお伝えします。
【この記事の対象】
- ご自身の知識や経験を客観的に見ることができる方
- カウンセラーとしての知識や技術、そして実務経験をしっかりと積みながら、多くの人のお役に立ちたい!と思われる方
カウンセラー開業のメリット・デメリット
まずはカウンセラー開業のメリット・デメリットをお伝えします。
カウンセラーは、自分で身に付けたカウンセリング技術を使って、ストレスを抱えている人の悩みを解決するという、とても魅力的な職業です。
しかし、魅力的な職業であるがゆえに、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットとデメリット両方知ったうえで、開業準備を進めていきましょう。
本記事で紹介した以外にも、メリットやデメリットはまだまだあるのですが、代表的なものだけお伝えします。
カウンセラー開業のメリット
カウンセラーは次のようなメリットがあるため、比較的開業しやすい職業と言われます。
極端な話ですが、税務署に行って開業届を出すだけで、カウンセラーとして開業することはできるのです。
また、人を喜ばせることが好きな方にとっては、とてもやりがいのある職業です。
初期費用がゼロ、融資もほとんど必要なし
カウンセラーは、必ずしも道具が必要ではなく(一部例外はあります)、特に場所が必要というわけではないので、初期費用がほとんどかかりません。
事務所を借りなくても、落ち着いたカフェでカウンセリングをすることもできますし、Zoomなどオンラインでもカウンセリングは可能です。
初期費用がかからない分、カウンセリングの資格を取ったり、心理学を学んだり、集客・マーケティングに多少お金をかけることが可能です。
売上のほとんどを利益にできる
カウンセラーは原価や、賃料などの固定費がほとんどかからないので、売上のほとんどを利益にすることができます。
開業直後からスタッフを雇う必要もなく、1人でも十分活動できるので人件費もかかりません。
カウンセラーとして活動する経済的な参入障壁はかなり低いと言えます。
時間的な制約が少なく副業から始めやすい
経済的な制約がないだけでなく、時間的な制約も特にないので、副業から始めやすい職業です。
カウンセリング時間は自分で決められるので、例えば会社員であれば、平日の夜や休日に活動しても構いません。
場所を気にしなくて良い
コロナ禍をきっかけに、オンラインセッションをするカウンセラーが増えてきました。つまり、カウンセラーは住む場所を気にしなくて良い職業です。
自宅のパソコンを使えば、お客様とリアルに対面しなくて良いので、遠方のお客様とセッションすることができます。
今ではお客様もオンラインでセッションすることに慣れているので、場所の制約はほとんど皆無と言って良いでしょう。
お客様が変化していくのを目の当たりにできる
自分の夢や目標に導くコーチングと違って、カウンセリングはどちらかというと人の悩み、不安、ストレスを解消するサポートをする職業です。
そのため、カウンセリングは特定の悩みが深い人がお客様になりますので、なかには深刻な顔をしたり、暗い表情をしたりしています。
しかし、その分、お客様が明るくなったり、前向きな気持ちになったりと変化していく瞬間を目の当たりにすることができます。
お客様が変わっていく様子を目の当たりにするので、やりがいを感じやすい職業です。
カウンセラー開業のデメリット
カウンセラーは、経済・時間・場所の成約の少ない職業なので、とても魅力的な職業に見えます。
しかし、それだけに次のようなデメリットがあるので注意が必要です。決して何となく感覚的にビジネスしても、なかなか軌道には乗りません。
ライバルが多くなっている
これはコーチ、コンサルタントにも同じことが言えるのですが、経済・時間・場所の成約がないというだけに、カウンセラー開業の参入障壁が低くなっています。
参入障壁が低いということは、それだけライバルが多くなっているということです。
しかも、今ではオンラインでカウンセリングをする人が急増しているので、場所で差別化することもなかなかできません。
もちろん誰でもできる職業ではありませんが、もはやスキルや資格をたくさん持っているからといって有利とは言えない状況にあります。
意外と経費がかかる
カウンセラーは、初期費用がかからず、しかも売上のほとんどを利益にできる職業である点は魅力的です。
しかし、カウンセリングスキルや資格取得にはそれなりに経費がかかりますし、ライバルも増えてきたので、気を付けないと集客にもお金がかかります。
自分が本当に必要なスキルは何かを明確にしないと、無駄に経費がかかってしまうことになってしまいます。
単価を安く設定しがち
カウンセラーとして開業する際、悩むのが単価設定ではないでしょうか?
カウンセラーの相場ははっきりと明確になっておらず、カウンセラーによって様々です。
もちろん開業準備中など、モニター期間を定めている場合は敢えて安い単価で行うことも必要です。
しかし、開業してしばらく経っても、安い単価をずっと続けて疲弊してしまうカウンセラーが意外と多いのが現状です。
ライバルの増加で、だんだん単価を上げづらくなっている背景もあるでしょう。
単価だけでなく、お客様にセッションを継続してもらうような仕組みができず、安価なセッションを単発で終えられてしまう方も少なくありません。
ただ、単価の問題は、自分の強みやお客様のニーズをつかみながら段階的に商品構築していけば解決できます。
カウンセラー開業で失敗する人の5つの特徴
カウンセラーは比較的時間や場所の自由のきくメリットはあるものの、それだけにライバルが増えている印象があります。
そのため、カウンセラー開業で成功する人と失敗する人が、以前よりも明確に分かれてきた印象です。
まずは、カウンセラー開業で失敗する人の特徴についてお伝えしたいと思います。
ただ、現状あてはまる人がカウンセラーに不向きというわけではないので、あくまで自分自身を見つめ直すきっかけとして参考にしてください。
商品構築をしながら改善して、軌道に乗った例はたくさんあります。
カウンセラー自身が幸せではない
カウンセラーとして開業したものの、軌道に乗らない人の傾向として、「カウンセラー自身が幸せを感じていない」「癒されていない」というものがあります。
「お客様の不安、ストレスの原因となる悩みを手助けしたい」と言いながら、カウンセラー自身が悩み続けていると、どうしても説得力がありません。
これは、意外と「人に与えることが好き」という貢献意欲の高く、心優しい方に多い印象です。
なぜかというと、人が幸せになっていく姿を見るのは好きなのに、自分は、楽しんだり幸せになったりすることを忘れてしまいがちなのです。
しかし、自分が現状に幸せを感じていないと、お客様の話を聞いたり、悩みを受け取ったりすることができません。お客様も、すぐに感じ取ってしまいます。
思い当たる方は、自分自身が今の生活を楽しめたり、遊んだり、休みたい時に休めたりしているか振り返ってみると良いでしょう。
カウンセラー自身が幸せを感じると、お客様もだんだん心を開くようになっていきます。
お客様の問題に感情移入しすぎてしまう
人生経験をきっかけとしてカウンセラーになる方は多いです。例えば、次のようなケースです。
- 自分自身が恋愛に悩んだから、恋愛カウンセラーとして開業
- 会社員時代うつになった経験があるから、仕事や人間関係に悩む会社員を対象としたカウンセラーとして開業
ここで注意したいのは、過去の自分と同じような問題を抱えたお客様がやってくると、必要以上に感情移入しやすいことです。
つい自分のことのように感情移入してしまうと、良かれと思ってアドバイスしてしまったり、ジャッジしたりしがちです。
カウンセリングは、お客様と適度な距離感を保ち、俯瞰して物事を見つめないと、冷静にお客様の話を聞いて質問することができません。
特に、先にお伝えした「カウンセラー自身が幸せを感じていない」「悩み続けている」方は、そのような傾向に陥りがちです。
プロのカウンセラーとしてお客様からお金をいただく以上は、平常心を保ち、自分自身のメンタルを整えるようにしていきましょう。
表面的なスキルや資格取得だけに奔走してしまう
カウンセラーとして活動している方は、NLPなどの脳科学、心理学、カウンセリングスキルなど、多くのことを学んでいます。
カウンセリングの資格についても、臨床心理士や産業カウンセラーに限らずたくさんあります。
しかし、カウンセリングスキルや資格を取得することはもちろん重要なのですが、それだけで開業に有利とはなりません。
スキル習得や資格取得に奔走してしまう方の問題点としては、大まかに次の2点があります。
- カウンセリングスキルと開業後の経営スキルが別物であることを理解していない
- 自分自身がどういう方向に進みたいか軸ができていない
つまり、スキルや資格の取得だけでなく、開業したら他にも考えないといけないことがあるのです。
また、表面的にスキルの習得に奔走しても、自分自身に落とし込めなければお客様のカウンセリングに活かせません。
かえって自分が学んだことの枠にはめてしまい、お客様の問題解決から遠ざかるデメリットも起こり得ます。
カウンセリングスキルだけでなく、自分自身のビジネスの軸、開業後の経営スキルの3つのうち、欠けているものがないか今一度見直してみましょう。
情報を発信していない
カウンセラーとして開業して経営するスキルといっても様々ありますが、カウンセラーの場合、代表的なものが新規集客とリピートです。
「カウンセラーとして開業したけど新規集客が課題」という方は多いですが、それにも関わらず情報を発信していない方が多いです。
モニター期間中は、自分の身近な知り合いや友人を募ってセッションをすることも必要ですが、それだけではどうしても集客に限界があります。
モニター期間中でセッションしたことや、自分自身の経験をもとにして見込み客に必要な情報を与えることは必須です。
特にカウンセラーの新規集客は、ブログとの相性はかなり良いです。
毎日発信する必要はないので、ブログとSNSを連携させながら、あなたを必要とする人に情報を届けるようにしましょう。
リピートしてもらうことが目的になっている
もちろん、カウンセラーとして開業して成功するためには、新規集客だけではなくリピート率を増やすことが必要です。
ただ、間違って欲しくないことがあります。単にリピートしてもらうことが目的となってしまっては、カウンセラーとして失格だということです。
カウンセラーは、その問題から解放されて、卒業していただくことをサポートできなければなりません。
リピートというのは、問題解決を引き伸ばすような手法をとることではありません。
プロのカウンセラーとして、お客様にリピーターになってもらうステップは次の通りです。
①お客様の素早い問題解決を促す
②お客様の人生がより良くなるように、次の段階の問題解決に取り組む
③結果的に長期の契約を得られる
カウンセラー開業で軌道に乗っている方の大半は、このステップでお客様にリピーターになってもらっています。
リピート率を上げることは重要ですが、本来の目的を見失わないようにしましょう。
カウンセラー開業で成功する人の5つの特徴
次に、カウンセラーとして開業して成功している人の特徴についてお伝えします。
決してカウンセラーとして成功することは難しいわけではなく、次のことができるようになると、ライバルに埋もれることなく軌道に乗ります。
もちろん、リピーターも増えていきますし、抵抗なく単価も上げることができるようになっていきます。
「なぜ自分でないといけないか」が明確である
カウンセラーとして成功している人は、「なぜ自分でないといけないか」が明確です。
今はライバルが集まりやすい傾向にあるので、単純に「〇〇専門カウンセラー」と名乗るだけでは、なかなか興味を持ってもらえません。
例えば、「職場の人間関係専門カウンセラー」「恋愛カウンセラー」といっても、どこかで聞いたことのある肩書きではないでしょうか?
つまり、表面的に自分の強みや得意なことを言葉にして差別化を図ろうとしても、「なぜ自分でないといけないか」が伝わらないのです。
これは、自分の過去の経験や、自分がどんな問題を解決できるか洗い出したりするなかで、「これだ!」というのを見つけるしかありません。
次の記事に書いているとおり、ワークをしてみると「なぜ自分でなければいけないか」が明確になるでしょう。
【関連記事】ブログ集客で成功するなら最初の記事が大事!でも何を書けば良い?
お客様に遠慮せず感想や事例をブログに載せることをお願いする
「なぜ自分でないといけないか」を明確にするといっても、なかなか自分で考えても出てこないことが多いです。
一人で書き出したり考えたりする時間も必要ですが、人に聞くことも必要です。なかでも一番頼りになるのは、ご自身のお客様です。
カウンセラーとして開業して成功している人の大半は、お客様に遠慮することなく感想を聞いています。
特にモニター期間中は、アンケートを集めたり、感想を聞いたりすることがしやすい時期です。
なぜかというと、「モニター価格でセッションをする代わりに、アンケートに答えてください」と理由を付けてお願いしやすいからです。
また、悩みを解決して喜んでくれたお客様に対して「この事例をブログやメルマガに載せても良いですか?」とお願いする方もいます。
カウンセリングの場合、詳細にどうやって悩みを解決したか事例を知りたい見込み客が多いためです。
もちろん、匿名でも勝手に詳細事例を掲載するのはご法度ですが、喜んでくれたお客様であれば、お願いすれば快く承諾してくれるでしょう。遠慮せずにお願いしてみてください。
カウンセラーという枠にとらわれずビジネスをしている
カウンセラーで成功している人は、カウンセラーという枠にとらわれず、広い視野でビジネスをしています。
例えば、カウンセラーというと、お客様と1vs1でセッションするものだと思っていませんか?
たしかに基本的には、一人ひとりと向き合って話を聞いて問題解決に導くのがカウンセラーですが、1vs1だけにこだわる必要はありません。
カウンセリングの内容にもよりますが、同じ悩みを持つ人を集めて1vs多数のグループコンサルティング方式で行うことも可能です。
自分のカウンセリング経験を活かして、セミナーを開催して、ワークを多く取り入れても良いでしょう。
そうすることで、売上を拡大するだけでなく、お客様にとってもお客様同士で気付きを得られるメリットがあります。これは1vs1のセッションにはないメリットです。
「カウンセラーとはこういう仕事」と勝手に型をはめてしまうと、ビジネスの枠を狭めてしまいます。
他業種の方とも交流しながら、「自分にもこういうことができないかな」と職業の枠にとらわれずに考えてみましょう。
別のビジネスと組み合わせる
カウンセラーの開業とは、少し話がずれますが、獲得したカウンセリングスキルは、何もカウンセラーだけに使えるものではありません。
例えばコンサルタントやセラピストはもちろん、税理士や社労士など、一見全然関係のない職業でもカウンセリングスキルを役立てることができます。
カウンセリングや心理学を学びに行って、「特にカウンセラーになるつもりはないけれど……」という方も多くないでしょうか?
ご自身の本職に学んだカウンセリングスキルを活かすことで、大きく飛躍できた人はたくさんいます。
もしカウンセラー以外にも興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
「自信がない」「実績がない」ことを前提に前に進む
「カウンセラーとして活躍したいけど、自信がなくて……」「実績もないし……」という方はとても多いです。
しかし、カウンセラーとして成功している方も、開業してから実績が十分あったり、独創的なアイデアがあったりしたわけではありません。
カウンセラーだけでなく、全業種に共通することですが、自信がない、実績がないという方は、次の記事を参考にしていただけると幸いです。
自分の実績やビジネスアイデアに自信がなくても、前に進めることがわかるでしょう。
【関連記事】起業したいけどアイデアがない・自信がないときに知っておきたい6つのポイント
【まとめ】カウンセラー開業で成功する人には共通の特徴がある
以上、カウンセラー開業のメリットとデメリット、成功する人と失敗する人の特徴についてお伝えしました。
- カウンセラー開業は必要な資金も少なく、時間や場所の成約もない
- カウンセラーは時間や場所の制約がない分、ライバルが増えやすい
- お客様を幸せにするのはもちろん、カウンセラー自身が幸せになる必要がある
- カウンセリングスキルと開業後の経営スキルは両方必要
- リピート率向上を目的として問題解決を引き延ばしてはいけない
- 「自分でないといけない理由」を明確にする
- お客様に遠慮せずに感想を聞いたり、ブログで事例の掲載をお願いしたりする
- カウンセラーの枠にとらわれずにビジネスをする
- カウンセラー以外もカウンセリングスキルを活かすことができる
カウンセラーは開業しやすい反面、ライバルが増えてきており、安易に「自分にもできそう」という考えでは失敗します。
しかし、自分の知識と実務経験を積みながら、プロとして多くの方に役立ちたいという方であれば、この記事の内容を取り入れれば成功する可能性は高いです。
ぜひこの記事を参考にして、あなたの起業が一歩前に進むきっかけになれば幸いです。
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